『ファウンダー』

 昨夜、気になっていた映画『ファウンダー ハンバーガー帝国の秘密』をアマゾンビデオでレンタルして観ました。マクドナルドの創業者の話で実話に基づいた映画とのことです。

 マイケル・キートンが演じる主人公のレイ・クロックは、業務用のミルクシェイク用ミキサーのセールスマン(さえないセールスマン)で、一度に5杯のシェイクを作ることが出来るミキサーをいろんなレストランに持っていくのですが、どこへ行ってもほぼ門前払いで一台も売れない日々が続きます。そんな中、カルフォルニアのあるレストランから5台の注文が入ったとの伝言を秘書から受けます。5台も売れるわけがない、これは何かの間違いだと思ったレイはそのレストランへ確認の電話を入れると、確かに5台は間違いだ、8台欲しい、すぐ送ってくれ、と言われ驚きます。一体どんなレストランなんだろうと興味が湧いたレイはシカゴからカルフォルニアまで車で行きます。その店の名前は「マクドナルドのハンバーガー」。その店のオーナー(マクドナルド兄弟)に会って、厨房の中を見学させてもらうことになりました。そこでレイが目の当たりにしたのは、これまでに見たことが無い画期的なシステム(今のマックの厨房システムの原型となったもので、注文から30秒でハンバーガーとポテトとシェイクを出すというもの)でした。これはイケるぞ、と閃いたレイは早速マクドナルド兄弟と契約を交わし、マクドナルドの名前の店舗をどんどん出店していきます。売り上げは順調に伸びて行きましたが、マクドナルド兄弟との契約で定められたレイの取り分が少ないので、レイは次第に資金繰りに苦労するようになってしまいます。そこでフランチャイズ方式を取り入れたり、色々とルール違反的なこともしつつ、最終的にはマクドナルド兄弟から店の権利を買い取ることになり、名実ともにハンバーガー帝国のトップに登りつめたのでした。

 映画の終わりの方で、レイとマクドナルド兄弟の弟(ディック・マクドナルド)が二人っきりで話すシーンがあります。ディックがレイに、最初にシカゴからカルフォルニアの店へ来た時に、厨房の中を見学させて、全部見せてやったのだから、それを真似て自分で自分のレストランを作ったって良かったのに、どうしてうちのレストランにそこまで固執したのか、と尋ねます。確かにそうすることも出来たけど「クロックのハンバーガー」なんていう名前の店じゃ売れないんだ、どうしても「マクドナルド」という名前が欲しかったんだ、とレイは答えます。

 「マクドナルド」と聞いてアメリカ人が連想するのが「Old MacDonald Had a Farm」という童謡だそうです。日本では「ゆかいな牧場」という曲名ですが、曲名は知らなくてもメロディは誰しも一度は耳にしたことがあると思います。マクドナルドおじいさんが牧場を持っていて、そこには牛がいて・・・、というのどかで牧歌的なイメージを持つ「マクドナルド」という名前が、どうしても、何が何でもレイは手に入れたかったのでした。このあたりは日本人にはピンとこない、というかアメリカに長いあいだ住んでいないと分からない感覚なのでしょうけど、凄く興味深い事実です。


Old MacDonald Had a Farm(歌付き英語童謡:ゆかいな牧場)