戌年に読む犬の本(その3)

犬から聞いた話をしよう

犬から聞いた話をしよう

 椎名誠の『犬から聞いた話をしよう』を読みました。これまでに日本国内および世界各地を旅してきた椎名さんが、旅先で撮った写真のうち、犬が写っているカットを集めて、それぞれに短いキャプションを付けたフォトエッセイです。

 この本は、表紙の写真に惹かれて思わず買ってしまいました。この写真は、アルゼンチンの「地球最南端の街」であるウシュアイアで、ランチを食べにレストランに入った飼い主を店の外で待つ犬の姿を横から撮影したものです。

 この本に登場するのは、日本のような恵まれた環境で可愛がられている犬ばかりではなく、厳しい中でも自分の居場所を見つけて、自由に強かに生きているということが感じられる犬の写真が多いです。

 そういった中で、私の一番のお気に入りの写真は、椎名さんの家で暫く飼われていたガクという犬のまだ小さい頃の写真です。思い切り遊び回って疲れてしまって、玄関の土間で誰かの草履を枕に眠っている姿が可愛くて仕方がありません。