夏の終わりに

 先日、仕事が終わって名古屋から岐阜へ戻ってきてから、ふらっとバーへよりました。この日の朝は寝坊しており、それはたぶん疲れが溜まっているのが原因のひとつでしょうから、早く家へ帰って少しでも睡眠時間を多くした方が良いのだろうな、ということは分かっていましたが、この後、季節が本格的に秋へと移行して、ぐっと冷え込む前に、夏のカクテルを味わっておきたいという思いが勝り、バーの扉を開けたのでした。

 1杯目はジン・リッキー。ジンを炭酸水で割り、グラスの上でライム(1/2個)を絞り、ライムはそのままグラスの中へ落とします。先が丸くなっている細長い金属の棒が付いてくるので、これを使ってグラスの底に沈んだライムの果肉を潰して、お好みで風味を調節することも出来ます。
 ライムを使ったカクテルとしてはジン・トニックが一般的ですが、ジン・リッキーはジン・トニックのような甘さはありません。

 2杯目は、ウイスキーにしました。ウルフバーンというスコッチモルトウイスキーで、これを飲むのは初めて。ウルフバーンというのは、数あるスコットランドの蒸溜所の中で、最北端に位置する蒸溜所だそうです。「ウルフ」なんていう名前で、ラベルには狼の絵が描かれているので、さぞかしワイルドな味なんだろうなと身構えていたのですが、予想に反して上品な味わいでした。最初はストレートで飲み、そのあとに少し加水して風味を楽しみました。

 最後はスイカを使ったカクテル(名前は忘れました)。そもそもは、ヘンドリックスというジンについてマスターと話していて、ヘンドリックスにはキュウリの香りが添加されているので、ウリ科のフルーツと相性が良い、とのことでしたので、じゃあそれを飲んでみようか、となりました。
 これが、まさに違和感なくマッチしていて、悪く言えばジンの存在感が無い、本当にジンが入っているのか、と思うほどですが、絶妙なバランスで調和しており、極端に言えばポカリスエットのようにゴクゴク飲めそうな風味でした。グラスのふちにフロスト(スノースタイル)されている塩がまた、子供の頃に塩を振って食べたスイカの味が思い起こされたりして、一瞬ノスタルジックな気分になったのでした。