ミステリーを通して知る文化

 「その国のことを知りたければ、その国のミステリー(推理小説)を読めばいい」というようなことが以前読んだデンマークのミステリーの巻末の解説(by翻訳者)に書いてあり、なるほど、一理あるなぁ、と思いました。学校の教科書や旅行のガイドブックに書いてあるようなベタな情報ではなく、通りすがりの観光客には伺い知ることが出来ない、その国に暮らす一般の人々の生活の中のちょっとしたことや、心の中の様子がミステリーには描写されているからです。そういう、日常生活の出来事の断片が集まってくると、段々とその国の人々の気質やカルチャーの輪郭が見えてくることがあります。ミステリー以外の小説でも、そういう描写は出てきそうですけど、何故かミステリーの方が分かりやすいというか、ピンと来るのは確かです。

 先日読んだミステリーはアメリカのシカゴの女性の私立探偵が主人公でした。その女性が、朝、出掛ける準備をしながら、コーヒーを飲み、燻製ニシンを食べる、というシーンがありました。へぇ、燻製ニシンなんて食べるんだぁ、と驚きました。アジア、あるいはノルウェーとかフィンランドのような漁業が盛んな国ならいざ知らず、アメリカ人が魚を原料とした食品を日常的に食するというのは新鮮な驚きでした。彼らが食べる魚は、せいぜいフィッシュ&チップスのような白身魚(タラとか)のフライぐらいだろうと思っていたので。この小説の中の燻製ニシンを食べるくだりを読んだ時、大きなニシンを丸かじりしている姿を想像してしまったのですが、Amazonで調べてみたら、裂きイカみたいに細長く切ったものがあったので、小説の中の女性探偵が食べているのは、多分そういうものなのでしょう。どんな味がするのか、食べてみたくなりました。

にしんの燻製得用 220g

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