キャンパス内の飲酒

 大学のひとつ上の先輩が同じ職場にいます。その人と会社の食堂でお昼ご飯を食べている時に、大学の話になりました。その先輩が言うには、我々の母校の大学では最近になってキャンパス内での飲酒が全面的に禁止されたそうです。近頃は、うちの大学に限らず「キャンパス内飲酒禁止」と言うルールを設けるところが増えているそうです。私の大学生時代を振り返ってみますと、当時はそんなルールが無かったので、キャンパス内での飲酒はごく普通のことでした。3年生から所属した研究室では、新歓コンパなどの酒宴は校舎の中の大きな実験室の中で行われ、ビール・日本酒・焼酎をガンガン飲まされたものでした。また、その研究室のトップである教授はお酒がたいへんお好きな方で、先生の部屋には卒業生から贈られた各地の地酒が棚に並べられていて(生酒は冷蔵庫で冷やしてありましたが)、授業が終わって陽が沈み始める頃合いになると、学生が酒とコップをササっと準備して「先生、ま、一杯どうぞ」と言って短時間の宴が始まったものでした。

 飲酒が禁止されたのはキャンパス内だけなので、飲みたかったら居酒屋や下宿先の部屋で好きなだけ飲んでくれ、ということなのでしょうし、それはそれで十分に楽しいのでしょうけど、やはり「キャンパス内での飲酒」というのは学生生活になくてはならないものです。学校の中で酒を飲むという、ちょっとした背徳感が伴う独特の楽しさがあり、それを共有することにより仲間意識が強まったものでした。酒が無いキャンパスライフなんて個人的には想像したくもありません。うちの大学は昔からお行儀が良い学生の集まりでは決してなくて、質実剛健バンカラというのが伝統的な校風であり、酒が無ければその伝統が骨抜きになってしまうような気がしてなりません。