松本城

 昨年までの信州大学ラソンは日曜日に開催されていて、翌日の月曜日に仕事があって早朝に起床せねばならない私は、少しでも早く帰宅して体を休めたいため、大会が終わるとすぐに松本駅へ行って名古屋へ向かう列車に乗りました。しかし、今年の開催日は土曜日で、急いで帰る必要もなかったので、少しブラブラすることにしました。そこで訪れたのが松本城。訪れたのは初めてで、国宝だということさえ知らなかったのですが、たいへん立派なお城でインスタ映えするせいもあって、多くの観光客がこのお城をバックに写真を撮っていました。

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 入場料(大人610円)を払って敷地内に入ると、長蛇の列が出来ていました。お城の中に入って天守閣まで行くのを待っている人達の列でした。待ち時間は20分ほどとの表示がありましたが、特に急いでいるわけではなかったので列に加わって待つことにしました。私の前には外国人の老夫婦が並んでいました。話している言葉や服装からアメリカ人のようでした(男性の上着にアメフトのシカゴベアーズのロゴが入っていました)。この老夫婦は仕事はとっくにリタイアして、お金と時間には余裕があるし、冥土の土産に日本にでも旅行に行ってみるか、とやって来て、東京や京都を観光するついでに松本にも寄ってみたのかもしれません。

 さて、「城」は英語ではcatsleで、外国人向けの情報サイトとかパンフレットにも恐らくはcastleという言葉が使われているのでしょう。アメリカには城が無い(たぶん)ので、そのcastleという言葉からアメリカ人はヨーロッパの貴族のお城をイメージしそうな気がします。豪華な装飾で、高級な調度品や美術品がたくさんあるような煌びやかな建物を思い浮かべることでしょう。しかし、日本の城は「貴族の住居」ではなく、戦の際の砦としての機能が最優先された作りになっており、城内には煌びやかな調度品などは置いていないので、それを見た外国人観光客は期待を裏切られてがっかりするのではないかなと心配してしまいました。しかも城内の階段は幅が狭くて傾斜が急なので、このような老人が昇ったり降りたりしたらかなり危険に違いなく、冥土の土産に来た松本城から冥土へ直行することになるのではないかと危惧せずにはいられませんでした。

 およそ20分後、やっと城の中へ入る順番がやってきました。入り口で渡されたポリ袋に靴を入れて手に持って中へ入ると、思った通り急な階段がありました。それが最上階(6階)の天守閣まで続いているようです。各階の床は板張りで、薄暗い中に様々な展示物がありましたが鉄砲関係の展示が多かったです。階段は急、というかほとんど垂直で、階段というよりは梯子といった感じで、しかもその狭い幅を昇る人と降りる人が行き違うのでかなり危険。こんなところで地震や火事が発生したら大変なことになるだろうなと思いました。先程のアメリカ人老夫婦はどうしているのかと周りを見渡したのですが、どこにもいませんでした。この急な階段を見て、昇るのを諦めたのかもしれません。

 天守閣もガランとして何も無い空間ですので、せっかく苦労してここまで昇って着たのになぁ、という徒労感がありました。

 急な階段を昇ってくるのは大変でしたが、降りるのもまた一苦労でした。やっとの思いで1階へ辿り着き、靴を履いて外へ出ると、先程のアメリカ人老夫婦がコスチュームを着たお城のアトラクションスタッフらしき人達と記念撮影をしていました ^^;) これは何だか楽しそうで、良い記念になったかも。

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