ゴディバ・ジャパンの社長

 ゴディバ・ジャパンの社長であるフランス人のジェローム・シュシャン氏が書いた『働くことを楽しもう。』という本を読みました。シュシャン氏は「7年で売上を3倍にした」という実績が話題を呼んで、『がっちりマンデー!!』や『カンブリア宮殿』などのテレビ番組でも紹介されたことがあるようで、『がっちりマンデー!!』の方はチラッと見た記憶があります。ただその頃は「へぇ、凄い社長がいるもんだなぁ」と思った程度でした。それが、暫く前に久米宏さんのラジオ番組にゲストとして招かれ、そこでシュシャン氏が書いた本があると知り興味が湧いたので読んでみました。

 フランス人の経営者と言えば、どうしても思い起こしてしまうのがカルロス・ゴーン氏です。ゴーン氏の場合は不採算部門の閉鎖や人員削減という大胆なコストカットで瀕死状態の日産を立て直しました。会社の業績が回復した点においては一定の評価を得ましたが、日本人の心には受け入れ難い手法でもあったことから物議をかもしたことも事実です。ゴディバ・ジャパンの社長も、もしかしたら多かれ少なかれゴーン氏のようなドライで冷淡な面があるのかと思いきや、全くの逆で、むしろ日本人の社員の良いところを引き出し、やりがいのある職場に変えたことにより「7年で売上が3倍になった」という結果が後からついてきた感じです。

 シュシャン氏は若い頃に来日した際に弓道と出会い、それ以来ずっと弓道を続けているそうで、現在は五段だそうです。この本に書かれている「経営のコツ」みたいなものが、全て弓道の精神と関連付けられていて、どの章においても、最後は弓道に落とし込んで説明していますが、無理やりな感じはしなくて、逆に今まで知らなかった弓道の奥深さを発見し、たいへん興味を持ちました。