回転寿司にて

 京都へ行ったついでに、京都駅の地下の回転寿司で腹を満たすことにしました。ただ、そこは非常に人気があるお店なので、いつ行っても大抵は席が空くまで待たされることになります。以前行った際、開店時刻の11時をまだ15分ほど過ぎただけだったのに、既に店内は満席で、1時間弱待たされたこともありました。しかし、今は新型コロナウイルスの影響でそれほど混んではいないかも、と期待を抱いて行ってみると、果たしてお店はガラガラで待つことなくすぐに席へ通されました。

 腰をおろして程なくすると、小学校5年生ぐらいの少年が私の隣の席へ座りました。その向こう側にこの少年の親が居るのかと思ったのですが、それらしき大人の姿は無く、どうやら少年は独りで食べに来たようです。いくら回転寿司とは言え小学生風情が、まるで吉野家へ入るかのように気軽に寿司屋へ来ていることに驚きました。その少年は慣れた手つきで目の前にあるタッチパネルを操作し注文していました。少年はカジュアルではあるけれど小綺麗な身なりをしており、賢そうな顔つきをしておりました。おそらく学習塾へ行った帰りか、あるいはこれから行くところなのでしょう。親はきっと医者か何かで、この少年も有名私立中学へ入って、ゆくゆくは医学部へ進学して医師となって親の跡を継ぐのではないかな、と勝手に想像を膨らませておりました。

 3皿目か4皿目ぐらいで私はタッチパネルでバイ貝を注文しました。暫くすると年配の寿司職人が両方の手にそれぞれバイ貝の握りがのった皿を持ってこちらへやって来ました。どうやら隣の少年も私と同じタイミングでバイ貝を注文したようでした。小学生が普通にバイ貝なんかを食べるとは、どこまで大人っぽいんだ、とまたしても私は驚きました。年配の寿司職人はまずは私に「はい、バイ貝です。」と言って握りがのった皿をカウンター越しに差し出しました。そして次に少年に「はい、こちらもバイ貝、サビ抜きね。」と言いながら渡しました。そうだろうな、何だかんだ言っても所詮小学生、サビ抜きだなんて、少年よ、まだまだ君は子供だな、ぷふふっと小さな笑いが漏れそうになったのでした ^^;)