お店などに何度か行き、やがてお店の人と親しげに会話を交わすようになることは一般的にはあります。ただ特にチェーン店の場合だと客とどう接するかはルール化されているところが多いようで、例えばコンビニでは、レジの店員が客に対して「おはようございます。今朝はいつもよりも早いんですね。」などと話しかけるのはNGなのだそうです。特定の客と親しげにするのがいけないのだそうです。というか、コンビニの店員に「いつもより早いですね」とか言われたら気持ち悪いと感じる人が多いみたいです。私もどちらかというとそうで、コンビニにそういうフレンドリーな関係を全く期待していないし、まるで自動販売機で買い物をするが如く、極めてドライで無機質であることを望んでいたりします。逆にスタバの場合は、店員に話しかけられることがよくあります。私はカフェラテなどにエスプレッソのショットを追加することが多いので、そういう飲み物を作りながら「濃いのがお好きなんですねぇ。私はエスプレッソがなかなか飲めるようになれなくて・・・」などと話しかけられることは度々あります。これはスタバの店員が元々人懐っこい人が多いからでもなければ、客と親しくなりたいと思っているわけでもなくて、待ち時間(スタバでは飲み物が出来上がるのに少なくとも数分間は待たされるので)に客が感じる退屈さやイライラを少しでも和らげて、また来店して欲しい、即ち売り上げを上げたいからに過ぎません。ただこれらの「客と店員の親密度」は文化的な背景の影響が大きく、私がかつて住んでいた米国だとコンビニ的なお店であろうとフレンドリーな人が多かったのは、米国がそういう文化だからです。米国だと飛行機でたまたま隣の席になった人に「どこへ行くの?」と話しかけられて暫く会話が続くことも珍しくありませんでしたし。
先日、自宅からほど近いところにある定食屋で食事をしました。そのお店のことは何度か書いたことがありますが、昔ながらの昭和的な定食屋で、周囲にチェーン店の定食屋や唐揚げ専門店が幾つもオープンして競争にさらされている中を頑張っているので、応援したいという気持ちから時々訪れるようになってから1年以上は経ったかと思います。そのお店は店主夫婦と店主の母(おばあさん)が働いていて、店主の父親である先代の店主はお店の片隅に腰掛けて「いらっしゃいませ」とか声を出したりしています。先日行った際に、そのおばあさんが私が注文した定食の他に茶碗蒸しを持ってきてテーブルの上に置いて「にいちゃん、これも食べてね。」と言いました。どうやら他のメニュー用に作っておいた茶碗蒸しが余っていたようで、ラストオーダーの時刻を過ぎていたこともあり、私にサービスしてくれたようでした。その心遣いは嬉しいものの、そこまでしてくれなくてもいいのに、と思いました。その好意による行為がいささか重たく感じました。あと、実は私は茶碗蒸しがさほど好きではないですし。