映画の中の富士山

 昨年5月に劇場公開された映画『プリンセス トヨトミ』をレンタルで観ました。前半は、とてもミステリアスな展開で画面に引きつけられました。真ん中あたりまで来たところで「こんなに話を広げちゃって大丈夫かな?」と思い始めて、後半はやや無理やり話を収束させた感はあるのですが、まあ映画ですから、こういう荒唐無稽さも、強引な話の展開もアリなのでしょう。
 映画の初めの方で、メインの登場人物3人が東京から大阪へ向かう新幹線の中で富士山にまつわるエピソードについて話すシーンがあります。ここで車窓から眺める富士山が画面に映し出されるのですが、この富士山の姿が個人的には気になりました。というのは、富士山の形は見る方向によって表情が異なるのですが、映画では明らかに河口湖方面から見た姿が新幹線から見た姿として使われていました。更に、この映画の中ではセミの声が聞こえたり、「暑いところをよぉおいでくださいました」といったセリフがあったり、ソフトクリームを食べるシーンが何回も登場することから、季節的には「真夏」という設定で、この季節には富士山の雪は全部無くなっているはずなのですが、映画の中では真冬並みに富士山が白くなっていました。映画の本筋とは全く関係無いことですし、観る人が共有している「イメージとしての富士山」から逸脱しないことが映画の中での富士山の描き方の基本であって、ありのままの姿を見せることの方がかえって違和感があるので、「お約束」として映像を合成している事は重々承知しているのですが、「富士山大好き」な私にとっては妙に気になりました (^^;)