『一流選手の親はどこが違うのか』

一流選手の親はどこが違うのか (新潮新書)

一流選手の親はどこが違うのか (新潮新書)

 この本は、元テニスプレーヤーの杉山愛さんのお母さんが、早稲田大学大学院スポーツ科学研究科で作成した『日本の若手トップアスリートにおける両親の教育方針に関する一考察』という修士論文に基づいて書かれたものだそうです。

 暫く前から、いろんなプロスポーツを観るにつけ、スポーツにおける成績もさることながら、インタビューなどでの受け答えがとてもしっかりとしていて、人間としても「一流だな」と感じることが多く、「いったい何がこういった魅力的な人間性を育んだのか」についてとても関心があったので、この本に手が伸びました。
 
 本の腰帯には「杉山愛の母親が石川遼宮里藍錦織圭の親たちに聞いた子育ての黄金法則」というキャッチコピーが書かれていますが、大半のページが杉山愛さんとどのように向き合ってきたかについて書かれていて、石川、宮里、錦織についてはポイントだけ抑えてサラッと流している感じでだったのはやや期待外れでしたが、杉山美沙子さんのような『名コーチ』がいたからこそ杉山愛という選手が誕生したのだな、と納得する内容でした。これは、マラソン高橋尚子小出監督、野球のイチロー仰木監督の関係を彷彿とさせるものであり、高校の漢文で習った「千里馬常有、而伯楽不常有」(千里の馬は常に有れども、伯楽は常には有らず)という言葉を思い出してしまいました。