TGIF (Thank God, it's Friday)

 オレゴンの大学院で私が所属していた研究室のボスの教授は、仕事中は気難しい感じの人で、声を荒げることは無いまでも、眉間に皺を寄せた険しい表情で貧乏ゆすり(アメリカ人だって貧乏ゆすりをするんですよ。「貧乏ゆすり」とは言わないですけど)をしていることが度々ありました。
 そんな彼ですが、金曜日はだいたい朝から機嫌が良くて、服装だっていつもは地味なのですが、金曜日は青のシャツに黄色いネクタイを締め、赤っぽいジャケットを羽織るといった、まるでルパン三世のような姿で大学へやってくることさえありました。
 そして毎週金曜日の昼間における彼の最大の楽しみはランチタイムです。恰幅の良い体格の彼は、ダイエットのためか通常のランチは野菜スティックをボリボリと齧る程度なのですが、金曜日はお気に入りのお店へ出掛け、その店のオリジナルのハンバーガーを食べながら軽くビールを飲みます。そのようにして普段よりも長めのランチタイムを過ごし、午後2時頃になって学校へ戻ってきて、1時間ほど簡単な事務仕事を処理して、3時過ぎには帰っていきました。
 こういう金曜日にするために、月〜木は切り詰めて仕事をしているようでしたが、自分の裁量で時間の使い方が決められるのは、日本のサラリーマンからみれば羨ましい限りです。