『オブリビオン』

 劇場公開時から気になっていたけど結局観に行けなかったトム・クルーズ主演の映画『オブリビオン』のDVDがリリースされたので早速レンタルしました。
 巷の口コミでは評価が分かれているようですが、私は好きです。ストーリー自体は際立って優れているとは思いませんが、早川書房のSF文庫シリーズのような「古き良きSF」の世界観にゾクゾクする魅力を感じました。ですので、てっきり原作は随分前に書かれたSF小説かと思ったらそうではなく、割と最近になって書かれた脚本だと知って驚きました。

 ツッコミ所もいくつかあるにはありますが、それがこの映画の質を損なっているようには思いません。ツッコム余地の無いよく出来た映画というのも、それはそれでひとつの価値であり、評価されて然るべきなのでしょうが、人間と同じで、全てにおいて完璧な人しか高い評価を受けないかというと実際にはそうではありません。映画においても、ストーリー展開がどうだ、映像技術がどうの、という一般的な評価軸とは別の次元で、その作品が醸し出す雰囲気に魅力を感じることはよくあり、この『オブリビオン』は私にとってそういう作品でした。

 私にとって魅力を感じる映画には、だいたい綺麗な女の人が登場するのですが ^^)、今回はジュリア役のオルガ・キュリレンコというウクライナ出身の女優さんがエキゾチックでなかなか素敵でした。調べてみましたら、2008年公開の007シリーズ『慰めの報酬』に出ていたそうで、その時は何とも思わず記憶に残っていないくらい印象が薄かったのですが、今回は良かったです。トム・クルーズとの抱擁シーンでは、彼女の体の柔らかさとぬくもりが妙にリアルに伝わってくるようで、トムに代わって自分が抱きしめているかのような錯覚をおぼえました。

 映画の本筋とは全く関係無いのですが、ストーリーの終盤にトム・クルーズが小型の飛行機(というか宇宙船というか)に乗って宇宙ステーションに入るシーンの字幕が、「進入を許可する」であるべきところが「侵入を許可する」になっていました。明らかに誤字。洋画を観る際は、耳では英語を聴いて、目では字幕を追って、気になるフレーズや「変だな」と思うところがあると戻ってもう一度そのシーンを観ることがあり、間違いを発見してしまうこともたまにあります。こういう誤りは1個でもあるとテンションが下がってしまうので、製作サイドは何度も校正して完璧に仕上げて欲しいもんだと思いました。