『その女アレックス』

その女アレックス (文春文庫)

その女アレックス (文春文庫)

 発売当初、書店で平積みになっている段階から気にはなっていたものの、なかなか手を出さなかった『その女アレックス』をやっと読みました。手を出さなかったのは、この小説が「本屋大賞」を受賞していたからで、今まで読んだ他の本屋大賞作品が全然面白くなかったので、きっとこれも面白くはないんだろう、と予想していたのですが、いやはや、今回の『その女アレックス』という犯罪小説はなかなか読み応えがありました。
 扱われているのはかなり猟奇的な事件で、グロくて、もしも映画で映像として描かれたら思わず目を背けてしまいそうですが、読者が思いもよらない方向に物語が進展していき、ぐいぐいと引き込まれていきました。
 物語の展開もさることながら、登場する刑事達の描き分けも秀逸で、とても人間臭いところが親近感を持てました。
 この作者の他の作品で、現時点で日本語に翻訳されているものはひとつしかないようですが、そちらも読んでみたいです。