新商品

 お菓子のメーカーというのは、毎年数多くの新商品をこしらえて市場に投入します。しかし、そのうちの大部分がすぐに姿を消す運命にあり、残るのはごく僅か(1,000個に3個ぐらい?)です。うちの会社が今年の秋冬向けに開発した新商品の中は、原料のグレードが通常よりもちょっと高いプレミアムな商品があります。製法もこれまでとは違って手間が掛かったもので、利益率は高くはありません。売れなくてすぐに消えてゆく商品だろうなとは思いつつも、「こういうのも作ることができるんですよ」という品揃えのひとつとして敢えて売り出すことにしました。
 しかし、こちらの予想とは裏腹に評判が良くて、注文の量も多いので、当初考えていた製造のスケールでは間に合わなくなってきました。かといって、製造量を上げるために新たに設備投資を行うほどではないので、取り敢えずは人海戦術でなんとかしのいでいます。物事はなかなか思うようには進まないものです。