ボンジョヴィ(2)

 BONJOVIというバンド名はボーカルのジョン・ボンジョヴィの名前から付けられました。つまりは苗字なのです。英語なので日本人からするとカッコイイ響きに聞こえるのですが、実は単なる苗字に過ぎません。日本でいうなら、「わたなべ」とか「はしもと」という苗字をそのままバンド名にするようなものです。苗字をそのままバンド名にすることは日本ではあまり無くて、昔、桑田バンドとか甲斐バンドなんてのがありましたが、それ以外ではメジャーなバンドでは記憶にありません。
 一方、欧米では苗字をバンド名にすることはそれほど珍しくなくて、私の大好きなVANHALENというバンドも主要メンバーであるエディとアレックスの兄弟の苗字がそのままバンド名になっています。苗字をそのままバンド名にしないまでも、深い意味を込めてこだわり抜いて名前を付けるのではなく、割と簡単に付けているパターンが多いように思われます。
 バンド名だけでなく、生まれてきた子供の名前だって、日本人だと画数は勿論のこと、考えに考え抜いて深い愛情と希望を込めて命名することが多いのに比べて、アメリカですと、日本のように従来に無かったような名前が新たに創造されることはほぼ無くて、時代によって流行はあるものの、マイケルだとかジェームスだとかメアリーといった既存の名前を付けることがほとんどのようです。
 そういった事実を踏まえてあらためて考えてみると、日本人がいかに名前を重要視しているかがわかります。日本人だけを見ていると気付きませんが、他の文化圏と比較すると、そういった特徴があぶりだされてきます。欧米における名前(人の名前もバンドの名前も)というのは他と識別するための「記号」に過ぎないのに対し、日本ではもっと重みのあるものなのでしょう。