柔らかくて、温かな手

 先日の糸井重里さんのテーブルサイン会で、最後に握手をして貰いました。糸井さんは、ああ見えても69歳で、11月には70歳になられます。考えてみれば、そのくらいの年齢の人と握手したり、手を握ったりする機会なんて普段はありません。子供の頃に祖母に手を握られたぐらいかな。ですので、糸井さんの手も老人の手で、そこにはこれまでの苦労が滲んでいるのが感じられるのだろうな、と勝手に予測していました。しかし、実際に握手した糸井さんの手は、しっとりとして、柔らかくて、温かでした。
 ここ何年かの間に握手して貰った著名人は、写真家のアラーキーこと荒木経惟さんとか現在は参議院議員青山繁晴さんがいるのですが、この2人の手も、糸井さんと同様に温かで柔らかでした。

 「手が温かい人は心が冷たくて、手が冷たい人は心が温かい」という都市伝説を耳にしたことがあります。これは迷信に近いことなんでしょうけど、全く100%デタラメというわけでもないらしい、と何処かに書いてあったのを読んだ記憶があります。「心が温かい」とか優しい人というのは、周りの人に対してすごく気を遣っているので、それがある種のストレスとなって、そのせいで手のような末端の血流が少なくなって冷たくなる。一方、心が冷たい人は、そういうストレスが無いので身体の隅々まで血流が行き届き、手も温かい、ということらしいです。これが医学的にみてどれくらい正しいのかはわかりませんが、あながち間違ってもいないような気がしないでもありません。
 アラーキーとか糸井さんとか青山さんのような、ある種の天才的な才能のある人というのは、周りの人のことを気にしすぎたりせず、そうすることによって思う存分才能を発揮できているのかもしれませんね。