書店にて

 手術の後は自宅安静となっていて、初めの3日間は横になっている時間が長かったのですが、ようやく本を読んだりテレビを観たりする時間が少し増えました。
 食べ物は、何をどれぐらいの量を食べるかは自分で判断し、自分で用意するようにしているので、食料の買い出しに外出せねばなりませんでした。

 外出したついでに、大型書店へ立ち寄りました。買いたい本が1冊あったので、店内に設置してある端末機で検索して在庫が有る事を確認し、その本が置いてる場所が印刷された紙切れを片手に本棚の間を歩いていると、杖をついた高齢の男性がいました。その男性は、傍を通りかかった女性店員に「『◯◯◯◯』の13巻がもう発売されているはずなんだが、あるかね?」と尋ねていました。そんな唐突に訊かれたって分かる訳ないから、レジカウンターまで行ってパソコンで著者や出版社や在庫の有無を確認するんだろうな、と思っていたのですが、その女性店員さんは「少々お待ちください」と言って、目的の本が並んでいる棚へ直行し「確かに13巻までは出てますね」と言いながらお目当の本を手にして戻ってきました。この間、たったの10秒ほど。この女性店員さんの頭の中には店内の情報がインプットされていて、必要なときにサッと出てくるんだなぁ、スゴイなぁと感心してしまいました。でも、もしかしたら、その本はつい最近入荷したばかりで、その女性店員さん自身がその本を棚に並べるという作業をしたから、たまたま覚えていただけかもしれませんが・・・。

 私は買いたかった本を手にしてレジの前の列に並びました。暫く待つと私の順番が回ってきたので3つあるレジのうち、たった今空いたばかりの一番右へ行くと、そこにいたのは先程の女性店員さんでした。「あなたの先程の迅速な対応は素晴らしかったですね。さすが、プロフェッショナルだ。感服致しました。」ぐらいの事を伝えたい気持ちはヤマヤマでしたが、勿論そんな事は言わずに普通にお会計を済ませました。こういう類のシーンに出会う度に、SNSの「いいね」とか「はてな」のスターのようなものがあったらいいのになぁ、と思います。ワタシ的には今回の女性店員さんには、黄色のスターでなく、グリーンのスターを3つほど差し上げたい心境でした。