アンサングシンデレラ

 

アンサングシンデレラ 病院薬剤師 葵みどり 1 (ゼノンコミックス)

アンサングシンデレラ 病院薬剤師 葵みどり 1 (ゼノンコミックス)

 

  『アンサンングシンデレラ』というコミック(マンガ)の第1巻を読みました。この作品は誰かがツイッターで取り上げているのを見て面白そうだったので、その翌日に書店で購入しました。

 主人公は、総合病院内の薬局に勤める薬剤師の葵みどり。薬剤師というのは、医師が書いた処方箋に対して、何かおかしいと感じた場合に問い合わせや異議申し立てが出来る唯一の存在だそうです。しかし、そうは言っても、病院内のヒエラルキーでは医師の方が上位ですから、普通はなかなか意見することなど出来ません。ところが、この葵みどりは、自分が正しいと思ったら相手が誰であろうと「それは違うんじゃないですか」とズケズケと言ってしまうので、院内の人間関係がややこしくなったりします。でも葵みどりは、ただただ患者のことを第一に考えているので、医師や他の薬剤師との上下関係など気にしていられないだけなのでした。

 葵みどりの職場には、同期がいて、なんかちょっとぶっきらぼうで、だけどいざという時には頼りになる男性の先輩薬剤師がいて、クールな女性薬剤師がいて、ベテランの看護師さんがいて、という感じにキャラクターが配置されています。薬剤師としての経験がまだ浅い葵は、若さ故に突っ走ってしまい、周りの人たちとぶつかったり、あるいは助けられたり、という感じで物語が進行していきます。これはまぁテレビドラマなんかでもよくあるパターンで、スポーツのチームが舞台のこともあれば、学校や会社が舞台であることもあります。  つまりは、そういう風にキャラクターを配置するという「定型」に当てはめれば、物語としての体裁がそれなりに整うものなのでしょう。しかし、この『アンサングシンデレラ』が陳腐なマンガに陥らなかったのは、薬剤師を主人公にしたところが新鮮だったからでしょう。医師を主人公にしたマンガやドラマはたくさんありますが、薬剤師ってほぼ皆無だったような気がします。

 第2巻は2019年春発売予定、と巻末に書いてありました。出たら買うつもりでおります。

 ちなみにタイトルの『アンサングシンデレラ』の「アンサング(unsung)」とは、「詩歌に歌われない」、「詩歌によって褒めたたえられない」という意味で、「縁の下の力持ち」的なニュアンスです。私は中島みゆきの『地上の星』という曲を連想してしまいました。