缶コーヒーの値段

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 ずっと以前、自販機の缶飲料の値段は、まだ消費税が無かった頃は100円でした。消費税(3%)が初めて導入されたのを機に110円に値上げされ、5%に増税されると120円になり、現在の8%に増税された際に130円になりました。まぁ、消費税率が上がったんだから物の値段が上がっても仕方がないよな、とあまり深く考えることもせずに何となく納得した気分になっていました。

 ところが、最近は自販機で100円で売っている缶コーヒーをよく見かけるようになりました。これまでにも100円で売っていたこともありましたが、自販機の表側に並んでいる商品のうちのほんの一部とか、期間限定であったりとか、小規模なものでした。しかし、最近見かけるのはもっと大規模なものです。これは、明らかにコンビニの100円コーヒーに対抗するものでしょう。セブンをはじめとするコンビニ各社が100円で出来たての、しかもそこそこ美味しいコーヒーを販売し始めたので、顧客を奪われる危機感から缶飲料メーカーは大規模な値下げに踏み切らざるを得なかったというのが真相なのでしょう。コーヒー以外の缶飲料では値下げをしていないことからも、それは明らかです。130円という定価が仕方がないと思っていた我々消費者としては「100円でも採算が合うのに、130円で売ってやがったんだなぁ」と思ったりもします。缶飲料を製造するには、かなり大規模な生産ラインが必要となり、当然大手メーカーしか自社工場を持てません。大手メーカーなんてそう何社もないですから、競合しつつも価格はほとんど談合的に130円へつり上がっていったんだろうと思います。しかし、これでずっと安泰だと油断していたところへコンビニという思わぬ方面からの参戦に、泡を食って価格を下げたのでしょう。この点ではセブンが100円コーヒーを市場へ投入した意義は大きいです。これで消費税率が10%に上がったら当然のように缶コーヒーを含む缶飲料は140円になっていたかもしれませんが、そうなるとますます「缶コーヒー離れ」が加速してしまうので、コーヒーに関してはこれまでのような消費増税に伴う値上げは無さそうな予感がします。

 確かに、価格が下がるのは消費者としては嬉しいです。しかし、価格が下がればメーカーの利益は圧縮され、そういう状況では社員の給与も上がらず、給料が上がらなければ消費も冷え込み・・・、というようにいつまでたってもデフレ傾向から抜け出せなくなってしまうというマイナス面もあります。この点においては、先ほどの評価とは全く逆にセブンがこの100円コーヒーを市場へ投入したことは、コーヒー業界を安売り競争という消耗戦に導いてしまったこととなり、その罪は大きいと個人的には思います。