読めない漢字

 先日の陛下の退位礼正殿の儀で、首相が文章を読み上げた際に「已みません」という漢字を読めなかったことが、ツイッターでちょっと盛り上がっていました。どうやら原稿には「願って已みません」と書いてあったようで「ねがってやみません」と読むのですが、首相は「〜国民を代表して、天皇皇后両陛下がお健やかであらせられますことを、・・・、あらせられますことを願ってません。」と言ってしまった場面をとらえた内閣広報室の動画が添付されていました。

 これに対して、漢字が読めないことは誰にだってあるけど、事前に原稿をチェックしておかなかったのがいけないだとか、たとえ漢字を知らなくても「願って」ときたらそれに続くのは「やみません」しかないだろう、と言った指摘がありました。でも、首相の日頃の他の言動は別として、これに関しては個人的には同情してしまいます。忙しくて原稿をチェックしておく時間が無かったのかもしれないし、確かに「願って」ときたら「やみません」と続くことは普通なら分かるだろうけど、ああいう緊張を強いられる場で読めない漢字が出てきたらパニックになって頭が回らないことだってあるでしょうし。だいたい「已」の読み方なんて学校では習わないし、パソコンで変換しようとしてもすぐには出てこないし、一般の人でこれを読める人がどれだけいるのだろうか。こういう原稿はおそらく教養の高い人物が依頼されて書いたのでしょうが、その人が書いた原稿を、まずは秘書がチェックして難しい漢字があればフリガナを付けておくといった配慮があって当然で、それを怠ったことに最大の責任があるように思います。