クリスピークリームドーナツのことがもっと好きになってしまう動画

 先週の日曜日の昼下がりに、車を運転しながらNHKのFM放送で松尾貴史さんの番組を聴いておりましたら、ゲストの方が『拒絶される恐怖を克服するための100日計画』という本を紹介していました。著者は北京生まれで10代で渡米して、現在は起業家として活動しているジア・ジアン氏。6歳の頃に学校で起こったある出来事がトラウマとなって拒絶されることに恐怖を感じるようになってしまったジア・ジアン君。大人になってもそれを引きずっていて、起業家としてプレゼンを行ったが出資を拒否されたことにも随分と落ち込んでしまいました。でも、起業家として成功するためにはたった1回拒否されたぐらいで落ち込んでいてはダメだ、この恐怖感を克服せねば、と一念発起して始めたのが「拒絶される恐怖を克服するための100日計画」というもの。これは、見ず知らずの他人に、あえて断られるような無理なお願いをして、やっぱり断られる、ということを1日1回、100日間続けることにより、拒絶されることに対する耐性を身に付ける、拒絶されてもヘッチャラなメンタリティを獲得する、という計画でした。ジア・ジアン氏は、この様子を毎回ユーチューブの自分のチャンネルにアップしていきました。

 まず1日目は、あるビルの警備員のところへツカツカと近寄っていき「100ドル貸してくんない?」と頼み、当然断られました。2日目は、ハンバーガーショップへ行き、ハンバーガーを食べ終わると店員のところへ行き「ハンバーガーの無料おかわりが欲しいんだけど」と言います。「えっ!? 何それっ!?」と驚く店員に対してジア・ジアン氏は「ほら、ドリンクのお代わり自由ってあるじゃない(フリードリンク)、それのハンバーガー版のことだよ」と説明するのですが、丁重に断られてしまいます。そもそも、断られることに慣れるように、あえて断られるようなお願いをしているわけですので、こういう風に断られるのは彼にとっては成功なのです。漫才に例えるなら、ボケとツッコミのようなもので、ツッコンで貰うためにボケているわけです。

 ところが、3日目にハプニングがおきました。テキサス州オースティンのクリスピークリームドーナツへ行き「オリンピックのシンボル(5つの輪)の形をしたドーナツを作って欲しいんだけど」とお願いします。当然「そんなものは出来ません」と断わられて終わりかと思ったら、店員がこれに対して真剣に対応し、最終的には注文通りのドーナツを作ってしまいました。しかも、その店員(ジャッキーという女性)は「これは私の奢りだから、代金はいらないわ」って言うのです。この動画は話題になり、500万回以上も再生され、それによってジア・ジアン氏も一躍有名となって講演の依頼が舞い込んできたりするよになったとか。私もその動画を観ましたが、確かにジーンとくるイイ話でした。そしてクリスピークリームドーナツという企業に対する好感度が確実に上がりました。こういうのって日本には無い文化だよなぁ。個人経営の商店だったら、ある程度の無理はきいてくれるかもしれないけど、それなりに名の通った企業の、しかも何の権限も無い末端のアルバイト店員がマニュアルに無いことに臨機応変に対応することが許されることは無いでしょう。日本の接客においては「おもてなし」の心が強調され、さも気配りが行き届いているかのようなことが言われますが、そういうものとこのクリスピークリームの店員の対応とは、根本のところで何かが大きく違うような気がします。


Rejection Therapy Day 3 - Ask for Olympic Symbol Doughnuts. Jackie at Krispy Kreme Delivers!

 

 というようなことを100日間行い、それらが記録されているのが『拒絶される恐怖を克服するための100日計画』という本。他にはどんなエピソードが収録されているのか、全体的にはどんな感じなのか、実際にこの本を手にとってページをパラパラとめくってみようと行きつけの書店を3軒ほど回ったのですが、いずれにも在庫はありませんでした。アマゾンにはあるみたいですけど、一度中身を確認してから買うかどうか決めたいので。

 

拒絶される恐怖を克服するための100日計画

拒絶される恐怖を克服するための100日計画