『暗殺者の潜入』

 マーク・グリーニー著のグレイマンシリーズの最新作『暗殺者の潜入』というアクション小説の上下巻を読み終えました。普段、読書は通勤電車の中ですることが多くて、日頃の睡眠不足のせいもあって、たいていは途中で眠たくなってくるのですが、このグレイマンシリーズだけは眠くなることがありません。

 このシリーズも7作目となり、こんなに続くと普通はマンネリ化してくるものだし、読者の側も惰性で買って惰性で読むというパターンに陥りがちなのですが、グレイマンシリーズは毎回色々と趣向が凝らされていて飽きを感じません。今回は、シリアへ潜入してある重要人物の赤ちゃんを救出する、というミッションで、さすがにこれは無理だろうと思いつつ読んで行ったのですが、なかなかどうして、面白い物語に仕上がっていました。

 ひとつ気になるのは、主人公の元CIA工作員が、「本当はいい人」であることを表現する描写が段々と増えてきたことです。長いシリーズの中では、そういう風な変化を付けることも重要ですが、程度が過ぎるとシラけてしまうので、さじ加減が難しいところだと思いますが、次回作も楽しみに待ちたいです。

暗殺者の潜入〔下〕 (ハヤカワ文庫NV)

暗殺者の潜入〔下〕 (ハヤカワ文庫NV)