A氏の執筆スタイル

 本業は作家のA氏は、民間のシンクタンクの社長を務めていた頃でさえ忙しい毎日を送っていたのですが、国会議員になってからは更に多忙を極めているのだそうです。議員になっても原稿の執筆を続けているので、毎日の睡眠時間は1時間半しかないと言っており、普通であれば体が持たないと思うのですが、本人曰く、もともと体が丈夫なのだそうです。そんな多忙なA氏は、時間があればパソコンを開いて原稿を書きます。新幹線で移動中は勿論のこと、飛行機で海外へ出張する際も、他の乗客がスヤスヤと眠っている時間帯も、黙々と原稿を書くのだそうです。そういうまとまった時間でなくても、例えばタクシーに乗っているときは当然のことながら原稿を書きますが、支払いの際、クレジットカードを出して、それを受け取った運転手が手続きをしているほんの僅かな時間にもノートパソコンに向かって執筆を行うと言っているのを聞いて驚きました。更に驚いたのが、A氏の自宅での執筆のスタイルです。パソコン4台(デスクトップ1台、ノートパソコン3台)を並べておき、それぞれ全く別の原稿を並行して書くのだそうです。あるパソコンで原稿を書き、途中で別のパソコンの前へ移動して別の原稿を書き、また次に別のパソコンへ・・・、とローテーションするようです。書いている途中で煮詰まって「う〜んっ」と唸りながら筆が止まったまま時間が無駄に過ぎていくのではなく、煮詰まったら別の原稿に切り替えることにより、時間のロスを少なく出来るのでしょうし、目の前の原稿から一旦離れて再び戻ってくると、その文章を客観的に見ることが出来て、アラが見えてくるとも言っておられました。そう言えば、大昔に東大名誉教授の竹内均先生の講演を聴いた時に、先生は勉強する際にひとつの教科をずっと何時間もやるのではなく、比較的短い時間(15分とか)で教科をどんどん変えていく、と仰っていたのを思い出しました。そうすることにより、休憩時間なんて取らなくても、教科を変えると気分も変わるので、集中力が途切れずに効率的に勉強が出来るのだそうです。

 ただ、A氏の場合、更に凄いのが、4つの原稿を同時進行で書きながら、テレビを2つ用意しておいて、2つの別の映画(DVD)を流しておくのだそうです。但し、音声は消しておき、原稿を書いている合間にチラチラと画面を眺めて、映像だけでストーリーを追うのだそうです。これらに加えて、音楽もかけているというから、たまげてしまいます。原稿4つ、映画2本、音楽1つ、合計7つのものに注意を向ける、こんなことが出来るのはA氏の他には聖徳太子ぐらいでしょう ^^;)