さて今年は・・・

 今年もまたノーベル賞の季節がやってまいりました。そしてノーベル賞と言えば、果てして村上春樹文学賞を受賞するかどうかが、最大の関心事であります。英国の賭け屋「ブックメーカー」のオッズによると、文学賞の1番人気はカナダの女性詩人アン・カーソンさんで、村上春樹は3番人気だそうです。更に今年は新たに多和田葉子さんという作家が賭け屋の予想の候補に加わりました。多和田さんは、早大卒業後にドイツへ移住し、日本での作家デビューより前にドイツ語で作品を発表し、現在はベルリンに暮らし、日本語やドイツ語で小説や詩を書いているのだそうです。2016年にはドイツで権威のあるクライスト賞を日本人で初めて受賞するなど、以前からヨーロッパでの評価は高く、また米国を代表する文学賞である全米図書賞(翻訳文学部門)を2018年に受賞したことが国際的な評価を更に高めと言われています。日本では1993年に『犬婿入り』で第108回芥川賞を受賞しており、その他にも数多くの文学賞を受賞しています。

 しかしながらノーベル文学賞は、賭け屋などの候補には挙っていなかった全くの予想外の作家や詩人が受賞することが多いので、賭け屋での人気が高いことは、逆に実際には受賞しない可能性の高さを表しているようにも思えます。でも、春樹ファンとしては毎年この時期にソワソワすることを恒例行事として楽しんでいます。

犬婿入り (講談社文庫)

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