沈黙の春

 せっかくの三連休だし、天気も良さそうだし、どこかへ出掛けようという気持ちもあったのですが、旅先で万が一感染してしまったりしたら、会社的にも色々と面倒なことになりそうな気がしました。日々の通勤途中での感染ならば、ある程度仕方がないと見られるかもしれないけれど、遊びに行って感染したとなると全面的に本人の責任ですから。自粛ムードは徐々に弱まりつつありますが、念の為もう暫くの間は遠出は控えることにしました。

 午前中はランニングのトレーニングに出ました。途中に中学校があって、これまでですと休日には学生たちがグランドでテニスなどの部活動を行っているのがフェンス越しに見えるのですが、昨日も今日も人っ子一人おらず、シンと静まり返っている中、どこか遠くの方からウグイスが鳴く声だけが妙に大きく聞こえてきました。この光景を目にして「沈黙の春」という言葉が頭に浮かびました。『沈黙の春』というのは1962年にレイチェル・カーソンというアメリカの生物学者が書いた本のタイトルです。この本ではDDTをはじめとする農薬の使用によって生態系に異変が生じる危険性を、春になっても鳥たちが鳴かなくなったことを通して訴えています。新型コロナウイルスによって今度は人間の方が沈黙させられている、いわば「逆・沈黙の春」は、自然からの「しっぺ返し」のように思えてなりません。しかもまだほんの軽いジャブ程度の、本格的な反撃の予兆に過ぎないような気もします。