指先の問題

 小学生の頃、学校で若くはない先生がプリントを配る際に、いちいち指を口元へもっていって舌に触って指先を湿らせるのを見て「嫌だなぁ」と子供心に思ったものでした。そういう記憶がしっかりと心に刻まれていたので、たとえ指先がカサカサになっても、指先を舐める大人にだけは絶対になるまいと誓ったのでありました。そう誓ってから長い月日が経ち、その間に私の指は次第に潤いを失っていきました。それでもなんとか頑張って指先を舐めることだけは回避してきました。ところが、いつも利用しているスーパーで7月からレジ袋が従来よりも薄いものに変更され、その袋がピッタリとくっついていて「これは袋状になっていなくて、ただの1枚のシートなのではないか」と思うほどでした。従来ですとスーパーの袋詰めをする台には指先を湿らすための水を含んだスポンジが置いてあったのですが、新型コロナ感染防止のためなのか撤去されており見当たりませんでした。指先に意識を集中して「う~んっ」と唸りながら指先から水分が滲み出てきてくれと念じてみましたが効果無し。既に何分かが経過しており、お店のスタッフは「あの人まだあそこにいる。何してるんだろう?」と思っているかもしれないし。もう諦めて、購入した食品を直接カバンの中へ入れてしまおうかと思いつつふとカゴの中を見ると冷凍食品(チキンライス)の表面が結露しているではないか!ああ助かったと思い、冷凍食品の袋の表面を指先で触れ、その指でレジ袋を触ると一発で問題は解決しました。今回はなんとか窮地を切り抜けられましたが、毎回冷凍食品を買うわけではないしなぁ。カバンの中に常にハンドクリームを入れておいて、必要なときにさり気なく指先に塗るようにしようかな。