悲愴

 ベートーヴェンの『悲愴』というピアノソナタを初めて聴いたのは中学生の時でした。「悲愴」というタイトルからして、さぞかし陰々滅々とした聴いているだけで気分が激しく落ち込むような曲なんだろうなという予想に反して、静かで美しい曲でした。悲しい出来事を経験しながらも、悲痛な思いや憤りを感情的にぶちまけて号泣するのではなく、うっすらと目に涙を浮かべながらも、現実を静かに受け止めているかのような情景を思い浮かべてしまいました。

 この『悲愴』という曲のことは長らく忘れていたのですが、先日観た『くちびるに歌を』というガッキー主演の映画の中のワンシーンにこの曲が使われていたので、またじっくりと聴いてみたくなりました。

 

 尚この曲のメロディラインは現代のミュージシャンに使われることも時々あり(作曲者の死後50年以上が経過して著作権はとっくに切れてますから問題無いです)、ビリー・ジョエルの"This Night"という曲のサビの部分に使われていることは有名で、私も好きです。


Billy Joel - This Night [Live Pro-Shot, 12/31/99] - 2000 Concert