007シリーズ最新作『NO TIME TO DIE』を観てきました。アクション映画が好きな私ですが、007が一番好きなわけではなくて、ミッション・イン・ポッシブルやジェイソン・ボーンシリーズの次ぐらいに好きな感じで、これまでも007は公開から数か月後にレンタルで観ておりました。しかし、今回の007はコロナの影響で公開が延期に次ぐ延期で遅れたこと、更にダニエル・クレイグがボンド役を演じるのはこの作品が最後となるとあり、一刻も早く観たいという気持ちが高まっていたので映画館で観ることにしました。
上映時間は163分(2時間43分)と長めで、観る前は「途中で退屈しないかなぁ」と少し心配していたのですが、始まってしまうとグイグイと惹き込まれて時間の経つのも忘れていました。とは言うものの、アクションシーンの見どころは前半に集められていて、後半はただ撃ち合うだけという感じでしたし、前半の見どころにしても予告篇で観たシーンがほとんどだったことはやや残念でした。
今回の作品には能面、畳の部屋、石庭など日本的な映像がいくつか出てきました。監督がキャリー・ジョージ・フクナガという日系の血を引く人であるからかもしれません。確かに能面は不気味さ全開で効果的でしたが、石庭は違和感があったというか、石庭をそんなふうに使ってほしくないなと日本人として思いました。
ダニエル・クレイグは、ボンド役に決まったときから批評家やファンからはかなり叩かれ、私もそれまでのジェームズ・ボンド像とは随分とイメージが異なる俳優だなと思ったのですが、回を追うごとに段々と板に付いてきて、3、4作目ぐらいからはボンド役はダニエル・クレイグしかいないとさえ思うようになりました。そのクレイグも007を卒業。今回の作品のエンディングは007シリーズそのものが終わってしまうんじゃないかと思わせるような演出でした。007が始まった当初(1960年代)はアクション映画のトップに君臨するシリーズだったのでしょうが、その後、様々なアクション映画、アクション俳優が登場し、時代の流れの中で007の輝きが薄れていったことは否めません。それに抗うかのように派手なアクションシーンを盛り込むだけになってしまっていたのも事実です。もう暫くの間は無理に次の作品を作るのではなく、暫く充電期間を置いた後に、あっと驚くような、やっぱり007は違うよな、と感嘆させてくれる作品となって帰ってきてくれることを願っております。