三部作

 暫く前に開高健の『夏の闇』、『輝ける闇』、『花終わる闇』の3冊の小説を続けて読みました。この三つの小説は「闇三部作」と言われているもので、開高健の代表的な作品なのだそうです。『夏の闇』と『輝ける闇』の文庫本はまだ書店で売っていましたが、『花終わる闇』だけは絶版になっているようだったので古本サイトから取り寄せました。『夏の闇』と『輝ける闇』には帯が付いていて「開高健 没後30年」と書かれていました。調べてみると開高氏が亡くなったのは1989年なので2年前に没後30年として重版がかかったもののようです。

 この3作品はエッセイではなく「小説」なのですが、これといった起承転結が無いので一般的な小説とは異なりますし、いわゆる「私小説」なのですが、それにしても物語性は薄く、開高健本人の心の内側をつらつらと書き綴ったものです。しかしながら、そこに非常にレベルの高い文学性が滲み出ており、やはり開高健ってすごいなぁとあらためて感じさせられた3冊でした。

花終る闇

花終る闇

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