突然の大雨

 仕事を終えて会社を出た時点で、空にはまだ雨雲らしきものは見えませんでしたので、バスには乗らずに駅までの30分ほどの距離を歩くことにしました。スマホで1時間ごとの天気予報を確認してみるとそろそろ雨が降り始めることになっていましたが、その前に何とか駅に辿り着けるはずだと私は考えていました。駅までの道のりの中ほどを過ぎたところで遠くの方からゴロゴロという雷鳴が何度か聞こえてきましたが、このまま何とか行けるだろう、と楽観視していました。そして駅まであと5分の所にある歩道橋を登り始めた途端にポツポツと大粒の雨が降り始めたかと思うと、あっという間に激しい雨に変わりました。ちょうど歩道橋の一番高い所にいたのでどこかの軒先に一時的に避難することもできません。慌ててカバンの中から折り畳み傘を取り出しましたが、嵐のような激しい風と横殴りの雨の前には小さな傘など何の役にも立たず、歩道橋を降りる頃には服の上下も靴の中も雨でぐっしょり濡れてしまっていました。そのまま駅までダッシュすると、まるで嘲笑うかのように、私が駅に到着したタイミングで雨はピタッと止みました。時間にしてほんの5分間ほどの出来事でした。建物の軒先などで雨をしのぎながら止むのを待てば良かったのですが、歩道橋の上にいたのでそういうわけにもいかず、まさに最悪のタイミングで雨が降り出したのでした。思い返してみると、こんなずぶ濡れになったのは人生で初めてかもしれません。でも、これが会社へ行く時でなくて良かったなと。