仁丹と乳酸菌

 森下仁丹という会社があります。その昔は口臭ケアの仁丹が大ヒットして隆盛を極めました。しかし、それ以降目立ったヒットが無く業績が悪化して会社が傾いてしまった時期もありましたが、仁丹の粒をコーティングする技術に活路を見出して業績は回復したのでした。そのコーティング技術は主に化粧品や健康食品の分野で利用されており、例えば乳酸菌をコーティングして(シームレスカプセルに閉じ込めて)胃酸で分解されないようにした「生きたまま腸まで届く乳酸菌」が入ったヨーグルトなどがあります。この技術を利用している食品メーカーは多いようで、現在販売されている飲むヨーグルトの各コンビニのPB商品には、申し合わせたかのように「生きたまま腸まで届く乳酸菌」が入っている旨が表示されています。

 ただ、相当前のNHKの『ガッテン(当時は「ためしてガッテン」)』で乳酸菌と腸の関係をテーマにした放送では、乳酸菌が「生きたまま」である必要はなくて、胃の消化酵素により死滅した乳酸菌であっても腸に良い影響を及ぼすと結論づけていていました。その後、その学説がどうなったのかは分かりません。摂取した乳酸菌なりビフィズス菌が仮に生きたまま腸まで届いたとしても、そのまま腸内に定着することがないのは確かなようで、それらの菌が腸内に入ってくることが刺激となって、一時的に腸内細菌叢に良い影響を及ぼすと考えられているようです。従って乳酸菌による健康効果を期待するのであれば、毎日ではないにしてもある程度の頻度で摂取する必要があるようです。