秋の夜長の推理小説

 ここのところ「これを読みたい!」と思わせてくれるアクション小説に巡り会えず、悶々とした日々を過ごしていました。書店の棚には一応そのジャンルの本がズラッと並んではいるものの、面白そうなものはあらかた読んでおり、新作がなかなか登場しないというのが私がいつも立ち寄る書店の現状です。その書店の棚で暫く前から勢力を拡大しているのがミステリー(推理小説)系です。こちらは次から次へと新しい本が追加されていきます。仕方がないので、それらのタイトルをざっと見て、ピンとくるものがあれば手に取って少し読んでみたり、スマホを取り出してアマゾンでレビューを確認してみたりするのでした。そんな中、先日、レビューでの評価が良かったこともあって購入したのがイギリスの作家の『自由研究には向かない殺人』という推理小説です。舞台となるのはイギリスの郊外、主人公は女子高生で、学校の課題の自由研究のテーマを「5年前にこの街で起きた殺人事件(女子高生が行方不明となり、彼女の彼氏だった高校生が自殺してしまう)の真相を究明する」ことに決めたところから物語は始まります。560ページの長編で、前半はまずとにかく関係者に片っ端からインタビューしたり、資料や情報を収集していく段階で、なかなか話が前へ進んでいかないのでやや退屈なのですが、残り三分の一を過ぎたあたりから段々と面白くなっていきました。私が「こいつが犯人だ!」と目星をつけていたのとは全く違う人物が犯人だったりしましたが、読み終わってみればとても丁寧に作り込まれた出来の良い推理小説でした。同じ女子高生を主人公にした続編『優等生は探偵に向かない』は既に出ていて、こちらの評価も高いようなので、いずれまた読んでみる予定です。