ふぐ

 通勤で利用している電車の駅には、その鉄道会社が実施しているツアーのポスターがたくさん貼ってあって、その中にはフグ料理を食べに行くツアーの案内なんかもあります。愛知県に日間賀島(ひまかじま)という島があって、東海地方ではタコを始めとする魚介類が美味しいらしい場所として知られています。その島の周辺海域は国内屈指のトラフグの漁場で、かつては国内のトラフグの漁獲量の20%近くを水揚げしていたそうです。そんな日間賀島へ電車と船で行って、フグ料理を食べてきましょう、というツアーのポスターがこの時期になるとたくさん貼ってあります。同じポスターが2枚並べて貼ってあったりします。フグ漁が解禁されているのは10月から3月末までなので、年が明けて暫くするとフグの「食べ納め」ツアーのポスターに変わります。

 私のこれまでの食の遍歴を振り返ってみると、子供の頃にフグを食べに行ったことも無ければ家で食べたこともありません。当時は今ほどフグが手軽に食べられてはおらず、フグと言えば「毒が怖い」というイメージが強かったので、そんなものを子供に食べさせるわけにはいかないという親の配慮があったのかもしれません。実際、フグの毒にあたったというニュースはテレビや新聞記事などで目にすることが珍しくありませんでした。

 私が初めてフグを口にしたのは大人になってからでした。石川県の寿司屋でフグの天ぷらを食べたのですが、それほど美味しいとは思いませんでした。フグと言えば、やはり薄くスライスした切り身が大皿に並べてあるのを食べてみたいです。