帰り際に

 仕事を終えてパソコンを閉じ、机の上の書類を片付けながら「今週も終わったわい」という「やり遂げた感」と解放感に浸っていると突如、その幸福な静寂を打ち消すかのように分析室から「ピー、ピー、ピー」というアラーム音が聞こえてきました。調べてみると、たくさん並んでいる分析機器のひとつ、インキュベーターの操作盤の赤いランプが点滅しているのが見えました。アラームボタンを押すと警報音は止まりましたが、赤いランプは依然として点滅し続けています。つまり何か異常が発生したままだといいうことです。その後、取説を見ながら色々と試してみたのですがダメ。どうしたものかと考えながら、ふと思いついてインキュベーターの中に入っているものの位置を変えたら赤いランプの点滅が消えて、やっと正常な状態に復帰しました。どうやら、たくさんの物を中に入れ過ぎて送風口を塞いでしまっていたのが原因のようでした。このトラブルのおかげで帰るのが1時間弱遅くなってしまいました。やれやれ。しかしこれを「1時間無駄になった」ではなく、あのまま帰っていたら途中で、例えば後ろから猛スピードで走ってきた自転車に追突されて大怪我をしていたかもしれなかったんだ、絶対そうだ、これこそまさに「人間万事塞翁が馬」なんだ、と無理矢理思い込むようにしています。