寒い夜に思い出すこと

 もう随分と前(数年前)になるのですが、ホームレスの人たちをサポートするボランティア活動に参加したことがありました。動機は、真冬のある寒い夜に「普通に生活していてもこんなに寒いのに、路上で生活している人たちはこの何倍も寒くて大変なんだろうな」という恥ずかしいくらい単純なもので、たまたまホームレスを援助する活動を行っている団体が身近にあることを知り、参加してみたのでした。その団体というのはキリスト教の教会で、私自身はキリスト教の信者でもなんでもないのですが、ボランティア活動には信仰にかかわらず誰でも参加が可能ということでしたので、「そうか誰でも参加できるんだな」とあまり深く考えずに飛び込んでみました。

 主な活動内容は、週に1回市内の公園に集合し、あらかじめ集めておいた寄贈された衣類や靴、毛布などをホームレスの人たちに配布するというものでした。また食料品を配布することもありました。準備・配布・後片付けでだいたい2時間ぐらいでしたし、これぐらいなら自分にも出来そうだなと思って続けていくつもりでおりました。

 しかし、私の思惑と違っていたのは、ただ単純に自分の時間と労働力をボランティア活動に提供すればいいというドライなものではなく、そこはやはり人が2人以上集まれば人間関係というものが否応なしに発生し、それがなかなか面倒なものであったことでした。「ホームレスのために頑張る」という熱意にも人によって温度差があり、教会のメンバーといえど全ての人が博愛精神に満ちた人ばかりではないんだ、という現実を目の当たりにして、よく考えてみれば当たり前のことでただ私が世間知らずで甘かっただけなのでしょうが、当初抱いていた志は急速にしぼんでしまい、そのボランティア活動からは静かにフェイドアウトしていってしまいました。

 年末の寒い夜にふとその顛末を思い出すことがあり、途中でリタイアした自分に対して罪悪感を抱くことがあります。出来ることなら何か別の形で役に立てたらいいな、と思ってはいるのですが・・・