力士のいる夏

 昨日、名古屋駅で電車を待っていると、隣の列に数人の力士がやって来て並びました。毎年、大相撲名古屋場所が開かれる頃になると街で力士たちを見かけるようになり、彼らはこの地域の初夏の風物詩的な存在なのですが、今年もまたそんな時期になったのだなぁ、と季節の流れを感じました。
 力士といっても、番付上位の名が知れた関取が電車で移動するはずもなく、そこにいたのは入門してまだ何年も経っていないであろう若手達のようでした。それでも、髷を結った頭と浴衣に雪駄という出で立ちのガッシリとした体格の男たちの集団は、周囲の乗客の注目を集めており、その野次馬的な視線の中には、「この人たちは相撲という国技を背負っているんだ」というリスペクトと誇りのようなものが幾ばくかは含まれているようで、そこが他のスポーツとは異なる相撲独特のものでした。
 数人の力士の中にはヨーロッパ出身と思われる顔立ちも見られましたし、その他の一見日本人に見える力士の中にも、もしかしたらモンゴルの出身がいるのかもしれません。今はまだどこの誰ともわからない彼らですが、この中に将来の横綱がいるのかもしれないなと思ったりしました。