日本美術の至宝


 名古屋ボストン美術館のことを略して「ボス美」というそうですが、そのボス美で昨日から始まった『日本美術の至宝』という特別展を観に行ってきました。
 アメリカのボストン美術館には10万点を超える日本の美術品が収蔵されており、その中から修復された未公開作品を含む厳選された日本美術コレクションの名品60点余りが展示されています。

 私は美術品のことは詳しくありませんし、特に古い仏画などを見てもその良さを理解することができなかったのですが、今回の目玉のひとつでもある存外二大絵巻(『吉備大臣入唐絵巻』と『平治物語絵巻』)をじっくりと鑑賞できたことは、とても良かったです。こういう絵巻物は、歴史の教科書の写真などで見たことはあり、その時は単なる学習対象としての無味乾燥で無機質的なひとつの情報でしかなかったのですが、こうして実物を間近で目にすると、これを描いた人の生身の人間としてのバイブレーションが伝わってくるようでした。特に『平治物語絵巻』に描かれているシーンは、NHK大河ドラマ平清盛』のストーリーがちょうどこのあたりに差し掛かってきたこともあり、余計に興味を持って見入ってしまいました。

 今回の特別展のもうひとつの目玉である曽我蕭白の『雲龍図』は圧巻でした。襖8枚分の大きさに描かれた巨大な龍は、墨だけで描かれているにも拘わらず生き生きとした躍動感がありました。また龍の表情や波しぶきなどの筆致は、どこか現代の漫画にも通じるところがあり、展示されている他の書画がモーツァルトの静かなピアノコンチェルトであるとするならば、この雲龍図はギンギンのハードロックであるかのような斬新で「ぶっ飛んだ」感じがありました。

 この特別展は、前期が9月17日迄で、9月29日からは後期が展示されるそうなので、そちらも観に行きたいですし、出来れば歴史的な背景を少しでも勉強しておけばより楽しめるのかな、と考えています。