語源、あるいは由来

 暫く前のNHKのラジオ番組を聴いておりましたら、三重県の観光関係のお仕事をされている方が伊勢神宮の歴史について話していました。その中で、江戸時代の伊勢参りについても言及し、当時は一般庶民の間では仲間どうしでお金を出しあって代表者が参拝に行くというスタイルが多かったようで、その代表者は御札や御守なんかも持ち帰ったのでしょうが、御神酒を頂いた際の盃も持って帰りました。そして地元へ帰ってきてから仲間達とこの盃で酒を回し飲むことによって御利益を皆で分かち合うという儀式を行ったのだそうです。こういった盃などの食器は、笥(け)と呼ばれていて、伊勢神宮などの神社で頂いたものは、お宮さんから貰った笥なので宮笥(みやけ)と呼ばれ、一説によると、これが土産(みやげ)の語源であると考えられていると言っていました。まあ確かに、そうなのかもしれないなあと思う一方で、どうして「土産」という文字が当てられたのかも気になります。

 語源つながりで、全く別の話なのですが、もうすぐオリンピックが開催されるブラジルのリオデジャネイロという地名の由来について本で読んだことを思い出しました。「リオ」は英語ではriver(河)、「ジャネイロ」はJanuary(1月)、つまりリオデジャネイロは「1月の河」という意味なのだそうです。これは大航海時代コロンブス南米大陸方面にやって来た際、はじめのうちは海だと思っていたのですが船を進めるうちに段々と両側に岸が見えてきて「なんだここは河だったのか!?」と判明したのが1月だったので「1月の河」と名付けたのだそうです。あちらの河はヨーロッパや日本の川とはスケールが違いますから、海だと思っても不思議ではありません。この話は学生時代にたまたま読んだ小松左京さんの本に書いてあったのですが、こういう語源とか地名の由来といった話が大好きな私にとっては大変興味深い内容でした。