ハッセルブラッド

 随分前、まだ今ほどデジタル一眼レフカメラが主流ではなかったとき、ある写真家がハッセルブラッドという中判フィルムカメラで撮影している姿を目にしました。お腹のあたりにカメラを構え、ファインダーを上から覗き込んでいる姿がいかにもプロっぽくて(実際にその人はプロなんですが)カッコ良い姿に魅せられてしまい、ミーハーで「まず形から入る」私はそのカメラが欲しくてたまらなくなって、思い切って買ってしまいました。
 カメラ本体はスウェーデン製、レンズはドイツのカールツァイス社製であり、品質的には申し分ないのですが、一番気に入ったのは、シャッターを切ったときの音で、「バフッ」という布のような柔らかい音質にたまらない魅力を感じました。
 しかし、このカメラの操作は、フィルムの装填も面倒だし、ファインダーの中の像が上下逆になっているので構図を整えるのも簡単ではないし、フィルムの現像とプリントにも日数がかかるし、料金も高いし、というようなことがあって、あまり実戦向きではないので、結局使わなくなってしまいました。
 時々、映画の中にこのカメラが出てくることがあり、「そういえば、このカメラ持ってたよなぁ」と思い出したりします。例えば、映画『クローサー』のオープニングシーンでジュリア・ロバーツ(写真家の役)が使ってたし、映画『今度は愛妻家』の中では豊川悦司さん(写真家の役)が使っていました。これらのカメラは映画の中では「プロっぽさ」を演出する小道具として使われているわけですが、実際のプロカメラマンの話では、今はほぼ100%デジタルで撮影し、納品もデジタルデータで行うそうです。そういう時代の流れに従って、映画の中のカメラも次第にデジタル一眼に置き換わっていくんだろうなぁと思います。

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