感謝祭 (1)

 11月の第4木曜日(今年は11月24日)は、アメリカではサンクスギビングデーという国民の祝日です。日本語では「感謝祭」と訳されています。この祝日の起源についてはいろいろと説があるようですが、一般的には、17世紀にイギリスから新天地を求めてアメリカ大陸へ渡ってきた人々が、現地の先住民族(インディアン)の助けを受けて何とか自立出来るようになり、次の秋には農作物を収穫できるようになったので、助けてくれた先住民に対する感謝の意味を込めて収穫祭に彼らを招待し、ともに喜びを分かち合ったのでした、めでたしめでたし、という美しいストーリーとして認識されているようです。
 でも結局、インディアンは、土地を奪われ、文化を破壊され、民族としての尊厳を失うという悲惨な末路を辿ることになるのですが、そういった「都合の悪い箇所」は強調されない、というか少なくとも「感謝祭」という文脈の中ではまるで無かったことのようにバッサリと切られてしまっているみたいです。もっとも、そういった歴史的事実の「操作(もしくは隠蔽)」は、どこの国にでも多かれ少なかれあるのでしょうが。