「あ」

 部屋の掃除をする際、最近ではなるべく捨てるように心がけています。「これはもしかしたら必要になる時がくるかもしれない」という理由で保管しておいても結局使う機会が訪れなかったという例は枚挙にいとまが無く、「いつか使うかも」の「いつか」が来ることなんてまず無いので、「これは絶対に必要」というモノだけを手元に置いておくことにしています。

 アメリカに住んでいた頃の思い出の品々は、今までは無条件に保管して一切捨ててこなかったのですが、これからは重要度の低いものから順に少しずつ処分していこうと思い、それらが入っている箱を整理しておりましたら、平仮名の「あ」がたくさん書かれた紙が出てきました。これは同じ研究室で一緒に実験を進めていた韓国人の女の子(若い頃の松雪泰子に似たキレイな子でした、うふっ^^;)と図書館で一緒に勉強していた際に「日本語を教えて欲しい」と頼まれ、手始めに平仮名の勉強からスタートしたのでした。とても勉強熱心な彼女は何度も何度も繰り返し「あ」という文字を書いていました。この後、この「日本語の個人レッスン」がどのくらい続いたのか覚えておらず、はっきりとした記憶が無いということはおそらくすぐに立ち消えになってしまったものと思います。

 私が日本へ帰ってきてから暫くの間は彼女とメールのやり取りがあったものの、次第に疎遠となってしまいました。今どこで何をしているのか全くわからないのですが、試しに彼女の名前をグーグルで検索してみたところ、彼女の名前が入った学術論文がいくつかヒットしたので、博士号取得→ポスドクと順調に進んで今では研究者としてのポジションを得ているようでした。昔の友人がそのように活躍しているのを知るのは嬉しいものです。そして私も頑張らなきゃ、とヤル気が湧いてきました (^^)