英語の発音

 JRの車内アナウンスが日本語と英語の両方で行われ、録音されたものを流すのではなく、車掌がその都度話すのですが、英語の発音があまりにも酷い、ということは以前ブログにも書きました。アナウンスの内容は、次に停車する駅名と、どちらのドアが開くかだけの短い文章です。何回か聞いているうちに慣れてきて何とも思わなくなるのかと思いきや、今だに聞くに堪えません。簡単な文章なんだし、もうちょっと上手に発音する努力をして欲しいものだと思います。

 JRのアナウンスが聞き苦しい原因は、英語のひとつひとつの単語の「発音」がカタカナ的であることもさることながら、全体のリズムが英語独特の「強弱」や「抑揚」があるものではなく、日本語を読む時と同じ平坦な棒読みになっているからです。こういう傾向は、JRの車内アナウンスだけでなく、政治家が国際会議などで行うスピーチでも見受けられます。

 こういう英語の発音・リズムに関する問題を目の当たりにすると、思い出すのがロサンゼルスに住んでいた頃に通っていたUCLAの英語学校にいたある教師のことです。その学校では会話だけでなく、文法、読解、リスニング、英作文など、全てのジャンルを教えていました。教師はたくさんいて、その中に40歳ぐらいの女性教師がいました。私はその教師の授業は取っていなかったのですが、彼女は休憩時間に生徒たちと立ち話をよくしており、その内容が近くに居た私の耳に聞こえてくることがありました。その中でとても印象的だった言葉がありました。それは、上手く喋るコツは、"you know"とか"I mean" などのネイティブが喋る時によく使う単語を所々に散りばめながら、ネイティブっぽいリズムになるよう心掛けなさい、というものでした。このリズムのことを彼女は"music"と表現していました。要は、内容よりもまず形を真似しろ、ということで、これは恐らくこの英語学校の教育方針とは違うと思うのですが、彼女としてはその方が早く周りに溶け込めて、溶け込めばそのうちにしっかりした英語力が身に付くと考えているのかもしれません。

 ただ一方で、英語は流暢にペラペラ喋る割りけどつまらない話をするよりは、無骨でもいいから内容のあることを喋るようになるべし、と村上春樹先生が仰っており、これはこれで正しいと思います。しかし、JRの車内アナウンスはこれとは別の話なので、やはりちゃんとした発音にして欲しいものです。

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