初めての手術

 手術というものが人生で初めてでしたので、病室から出て看護士さんに付き添われて手術室へ入ると、「へぇ〜、手術室ってこんな感じなんだぁ〜」と物珍しそうに室内を見渡してしまいました。

 当然、全身麻酔というのも初めてで、映画やドラマなんかのように呼吸マスクの空気の中に麻酔ガスが入っているのかと思ったら、そうではなくて、点滴の中に麻酔薬が入っているのでした。この麻酔がいつ頃効いてくるのかな、と考えているうちに、意識が遠のくという感覚が全く無いまま、私の記憶はそこで途切れ、看護士さんが私の名前を呼ぶ声が聞こえてきたので、何だろうなと思って目を開けると、既に手術は終わり、私の病室へ運ばれてきていました。

 ただ、大変なのかここからということは事前に医師から散々脅かされていたので、のたうち回るほどの痛さを覚悟してしていたのですが、鎮痛剤を服用すれば何とか我慢出来る程度の痛さでした。

 鼻の奥には詰め物がしてある状態なのですが、術後はここから血液が滲み出てくるので、両方の鼻の穴にボール状の脱脂綿を詰めます。大きさは「タマゴボーロ」というお菓子をひと回り大きくしたぐらいでしょうか。この状態で新幹線に乗ったりして家まで帰るのですが、流石にこれは恥ずかしいので当然マスクをかけました。


 今回の手術は、大きさとしては小指の先ほどなのでしょうけど、たったそれだけでも、手術するとなれば大掛かりだし、終わった後の体へのダメージも予想以上です。でも、世の中にはもっと大きな手術を受けている人がたくさんいるわけだし、そういう人は私なんかの何十倍も辛いんだろうな、と他人の痛みについて考える良い機会でもありました。