『コンビニコーヒーはなぜ高級ホテルより美味いのか』

 

 『コンビニコーヒーは、なぜ高級ホテルより美味いのか』という新書を読みました。著者は「コーヒーハンター」として知られている川島良彰氏。川島氏は、UCCでコーヒー農園開発に長年携わった後に独立して株式会社ミカフェートを設立し、コーヒーのプロデュースを行っております。シャンパンボトルに入れられた1本1万円ぐらいする高級なコーヒー豆が銀座のミカフェートの店舗で売られているのは知っていました。そういう贅を極めた、高品質で高額な、究極のコーヒー豆だけを扱っているのかと思っていたのですが、美味しいコーヒーを世に広めるべくいろんな価格帯のコーヒーのプロデュースに関わっているということをこの本を読んで知りました。

 これまで日本のコーヒー業界は大手のコーヒー豆供給企業が牛耳っていて、儲けだけを追い求めるあまり、安かろう悪かろう的なコーヒー豆が流通し、そういったクオリティが低いものがコーヒーなのだと思われてしまっていました。そこへコンビニの100円コーヒーが登場し、100円なのにこんなに美味しい、じゃあ喫茶店の500円のコーヒーやホテルのラウンジの1,000円のコーヒーはコンビニコーヒーの5倍や10倍の価値があるものなのか、というふうに消費者に考えさせるきっかけを与えました。これによって一石を投じられた形になった日本のコーヒー業界は、いわゆるサードウェーブコーヒーの日本市場への参入、各地の個性的な自家焙煎コーヒーの台頭などが作り出すウネリと相まって、非常に活況を呈しております。コーヒー愛好家にとってはこういう状況は嬉しいですし、これからも業界の動きから目が離せません。