夏休みの宿題と言えば、自由研究と「夏の友」という課題用冊子の他に読書感想文がありました。今でこそ読書は好きですが、小学生の頃は自ら進んで日常的に本を読むという習慣は無かったので、課題となった本を最後のページまで読むことだけでも大変な苦労を伴う作業だった上に、感想文を書かねばならないのでウンザリしていました。しかし、義務教育の9年間、そして高校の3年間(記憶が曖昧なのですが、高3は受験が控えているので、読書感想文の宿題は無かったかもしれません)という人格の基礎が形作られる多感な時期に「夏になると本を読まされる」というのが毎年毎年繰り返されると、それが体に染み込んで定着してしまうようで、社会人になってからも夏のこの時期になると、文学作品を読まねばならないような心持ちになってしまいます。こういうふうにモチベーションが上がっている状態なら、例えばドストエフスキーの長編小説だって貪るように読めてしまいそうな気がしてきました。そんなことを考えながら、大型書店の文庫本コーナーへ行ってみると、「新潮文庫の100冊」のような夏休み向けの本がセレクトされて平積みされていました。その中のドストエフスキーの『罪と罰』、『カラマーゾフの兄弟』を手に取ってみました。ズシリと重くて、読み応えがありそう。買って帰ろうかと思いましたが、流石にこれを読み始めると、他にも読みたい本がたくさんあるのにドストエフスキーだけで夏が終わってしまいそうなので、取り敢えず今回は買いませんでした。こういう小説は、有り余るほどの時間が無いとなかなか読めません。そして社会人になると、有り余るほどの時間はありません・・・。やはり、大学生の頃に読んでおけばよかったなぁ。