『狼の領域』

 NHKの『トーキング ウィズ 松尾堂』というFMラジオの番組では、ゲストを招いてテーマについて語り合うというのがメインなのですが、番組の最後の方でパーソナリティの松尾貴史さんが「実はこの松尾堂というのは本屋でして・・・」と言って、オススメの本をゲストに紹介してもらうコーナーがあります。そこで紹介された本は一応アマゾンのサイトで内容やレビューをチェックして、興味が湧けば買って読んでみることがあります。昨年の11月に黒川伊保子さんという実業家がゲストとして登場しました。黒川さんは『妻のトリセツ』という本を書いた方としても有名です。その『妻のトリセツ』には全く興味が無いのですが、黒川さんが番組の中でオススメとして紹介した『狼の領域』という本は面白そうだったので読んでみました。作者はC.J.ボックスというアメリカ人の作家で、『狼の領域』はジョー・ピケットという主人公が登場するシリーズの中の10作目に当たる作品でした。こういうシリーズ物の場合、1作目から読んで登場する人々の人物像や背景を理解した方が良いとは思ったのですが、まあ何とかなるだろうと思っていきなり『狼の領域』を読むことにしました。主人公のジョー・ピケットはワイオミング州の猟区管理官で、広大な山とか森の中を馬に乗ってパトロールし、法律に違反した狩猟をしている者がいないか目を光らせるのが任務です。ある日パトロールをしていると、山の中の池で魚を釣っている大男に出会いました。どうやら規則で定められた以上の魚を釣っているようだったので、見過ごすわけにはいかず、ジョーはその大男に話しかけます。最初はたったそれだけのことだったのですが、このあと話はとんでもない方向へ展開していきます。ほぼ森林という限られた空間の中だけで展開していくストーリーですが、私がこれまでに読んできたアクション小説とは一線を画すタイプの面白さでした。これはシリーズ1作目から読んでみたくなりました。

狼の領域 (講談社文庫)

狼の領域 (講談社文庫)