七夕の思いで

 幼稚園の年長の頃だったと思いますが、おそらくいつの時代のどの幼稚園でもやるように、園児がいろんな色の短冊に願い事を書いて、それを竹の枝にぶらさげるという行事がありました。その時に自分がどのような願い事を書いたのかは全く覚えていないのですが、多分ありきたりの事(パイロットになりたいとか)を書いたのではないかと思います。で、他の子たちはどんな事を書いたのかな、と気になった私(当時6歳)は、竹の枝に括り付けられた短冊を順番に見ていきました。そしたら「Kちゃんのおよめさんになれますように」というのを発見。ちなみに、Kちゃんというのは私のことです。驚きつつも尚も短冊を見ていくと、また別の女の子が「Kちゃんのおよめさんになれますように」と書いており、その後さらに同様の願い事が書かれた短冊を3枚発見しました。つまり、計5名のうら若き(いずれも5歳または6歳)女の子が私のおよめさんになることをお星さまにお願いしたということが判明したのでした。さすがにそれには激しくうろたえつつも「5人の中だったら、ひとみちゃんが一番いいな、やっぱり」と冷静に判断し、しかしその一方では「でも、一人を選んだら他の4人は悲しむかな?怒るかな?どうしよう、どうしよう!?」と深く悩み、家に帰ってからも母親にも相談できず小さな胸を痛めたのでした。しかし、幼稚園というのは毎日が新しい経験で満ち溢れているので、七夕の願い事などすぐに過去の出来事となって忘れられてしまい、5人の女の子と私の間でドロドロの修羅場が繰り広げられるという事態には至りませんでした。今から思えば、あれが私のモテ期だったのかもしれません。その後の人生で多数の女性から同時にアプローチされることが再び起こることは無く、今に至っております (^^;)