1冊の本に込められた想い

続ぼくを探しに ビッグ・オーとの出会い

続ぼくを探しに ビッグ・オーとの出会い

 この本は、随分前に会社の先輩社員(女性)から頂いたものです。大学卒業後、お菓子のメーカーに入社した私は、チョコレートの開発グループに配属され、その時に私のすぐ向かい側の席にいた女性が、その先輩社員です。彼女は、朝、会社へ来るのは遅いのですが(ほんとにギリギリ)、帰るのは誰よりも早いという、その頃から既にワークライフバランスを重視していた人でした(笑)。そんな彼女の下についた私は、仕事を教えてもらいつつも、その先輩女性が仕事の合間に語ってくれる仕事以外のいろんな話にとても興味を持ち、「面白い人だなぁ」と思うようになりました。
 そんな彼女でしたが、私が入社して2年が過ぎた頃に、会社を退職してアフリカへ行くことになりました。そして、お別れの際に私へのプレゼントとして贈ってくれたのがこの本でした。
 今でも私の部屋の本棚に並べてあるこの本を久しぶりに手に取ってみて、あの頃のことを懐かしく思い出しました。これは所謂「大人のための童話」というカテゴリーに分類される本ですが、決して「安っぽい自分探し」系の本ではなく、読む側の「人生の経験値」に応じて異なる何かを示唆してくれると思います。実際に私も、これをプレゼントされた時に読んだ印象と今とでは、感じ方がわりと大きく違っていたので驚きました。
 今にして思えば、あの頃、私が先輩女性に惹かれたのは、結局はこの本に書いてあるようなことが、「人生の中で大切にすべきこと」のひとつとして彼女の心の中にも私の心の中にも存在していたからなのでしょう。そういう、言葉ではうまく表現し難い概念が、「童話」という目に見える形になり、それを他者と共有できたり、好きな時に再生できるって、よく考えたら素晴らしいことです。