普通の板チョコや粒チョコの表面は、滑らかでツヤがありますが、これは「テンパリング」という温度を調整する工程により、チョコレートを構成する油脂(カカオバター)の結晶が細かく均一になるためです。暑い所に置いて溶けてしまったチョコレートは、この細かくて均一な結晶が崩れているので、冷蔵庫に入れて固めても白っぽくなってしまいます(結晶のサイズがバラバラになり、光が乱反射して白く見えます)。白くなった状態は「ブルーム」と呼ばれています。油脂の結晶の形が変わっただけですので食べても害はありませんが、風味は損なわれており美味しくありません。
一方、ラグビーボールのような形をしたアーモンドチョコは、ぐるぐると回転する大きな球状の釜の中に入れたアーモンドにチョコレートをスプレーで吹き付けて、チョコレートの層を少しずつ厚くしていくという工程で製造されるため、そのままでは表面がザラザラでツヤがありません。そこで、最後の工程で、ツヤ出し用の「光沢剤」でコーティングすることにより、ツヤのある美味しそうなアーモンドチョコに仕上がります。
さて、この「光沢剤」ですが、ほとんどの場合「シェラック」という物質が使われます。シェラックとは、カイガラムシという虫が自分の体を保護するために分泌する樹脂状の物質を精製したものです。「虫の分泌物なんか使っているの!?」と驚かれるかもしれませんが、ちゃんと認可された添加物であり、医薬品にも使用されている他、食品ではグレープフルーツ等の柑橘類のワックスや天津甘栗の光沢剤としても使われているようです。